久々に、乾千恵さんに電話をした。千恵さんは、電話口には出られないので、お母さんとしゃべることになる。お母さんとしゃべるためにかけているとも言える。千恵さんから来る手紙は、いつも千恵さんの言葉をお母さんが代筆しているのだ。で、しゃべるのはお母さん。すこしややこしい。きっと分ちがたい存在なのだろう。
少し前に送ってもらった絵本
おじいちゃんのトラのいるもりへ 乾千恵 文 あべ弘士 絵 福音館書店
のお礼を言うためだった。
おじいさんと孫がトラでつながっているジャワを舞台にした物語。すばらしいので、ぜひご覧下さい。
そういえば、中川真さんの小説+写真
SAWA SAWA 高橋ヨーコ 写真 中川真 文 求龍堂
にも、おじいさんと音でつながるバリを舞台にした物語があった。こちらもすばらしいので、ぜひご覧下さい。
で、千恵さんはというと、具合が思わしくないらしい。ワヤンを題材にした絵本「スマントリとスコスロノ」(福音館書店)を出した後、エネルギーを使いきったからだろうとのこと。もう長く、家でひっそりとしているらしい。音と光も受け付けないらしく、耳栓をして、カーテンを閉め切って、サングラスをして暮らしているそうだ。
ガツンとやられた気がした。五感を開いて、研ぎすませることからダンスを始めてきた僕にとって、外へ出て、自然の風を思いっきり浴びることから、鳥のさえずりに応えることからダンスを始めてきた僕にとって、放射能が際限なく広がり、どこへ向かったらいいのか困っている僕にとって、千恵さんのその姿はショックだった。耳栓をし、サングラスをかけた彼女は、何を聞き、何を見ているのか。千恵さんのお母さん流に言えば、宇宙支配の神の声だろうか・・・.
千恵さんは、前の仕事でも同じようになったことがあり、その時は、しばらくすると、からだが勝手に動く現象がはじまって、あたかも自分で自分をリハビリするかのごとく、すこしずつ回復していったそうだ。その回復期には、他の人の病も治す力が沸いてきていたそうだ。
先週末に、奈良の東吉野村に泊まりがけでアートキャンプに出かけた。障がいある人とアーティストが自然の中で出会うプログラム。ワークショップの間中、みんなの輪からすこし離れる少年がいた。少年は、銀杏の木の下がお気に入りのようだった。銀杏の木の下の石の上に立って、手に取った葉っぱを眺め、川の音を聞いているようだった。お母さんに聞くと、大きな音が苦手で、銀杏の葉っぱは象に似ているから好きとのことだった。山の向こうに日が沈み、ブルーが立ちこめはじめる中に、少年は立っていた。お母さんは、「この子は、夕暮れが好きなんです。だんだんと宇宙になっていく感じがして。」と言った。
少し前に送ってもらった絵本
おじいちゃんのトラのいるもりへ 乾千恵 文 あべ弘士 絵 福音館書店
のお礼を言うためだった。
おじいさんと孫がトラでつながっているジャワを舞台にした物語。すばらしいので、ぜひご覧下さい。
そういえば、中川真さんの小説+写真
SAWA SAWA 高橋ヨーコ 写真 中川真 文 求龍堂
にも、おじいさんと音でつながるバリを舞台にした物語があった。こちらもすばらしいので、ぜひご覧下さい。
で、千恵さんはというと、具合が思わしくないらしい。ワヤンを題材にした絵本「スマントリとスコスロノ」(福音館書店)を出した後、エネルギーを使いきったからだろうとのこと。もう長く、家でひっそりとしているらしい。音と光も受け付けないらしく、耳栓をして、カーテンを閉め切って、サングラスをして暮らしているそうだ。
ガツンとやられた気がした。五感を開いて、研ぎすませることからダンスを始めてきた僕にとって、外へ出て、自然の風を思いっきり浴びることから、鳥のさえずりに応えることからダンスを始めてきた僕にとって、放射能が際限なく広がり、どこへ向かったらいいのか困っている僕にとって、千恵さんのその姿はショックだった。耳栓をし、サングラスをかけた彼女は、何を聞き、何を見ているのか。千恵さんのお母さん流に言えば、宇宙支配の神の声だろうか・・・.
千恵さんは、前の仕事でも同じようになったことがあり、その時は、しばらくすると、からだが勝手に動く現象がはじまって、あたかも自分で自分をリハビリするかのごとく、すこしずつ回復していったそうだ。その回復期には、他の人の病も治す力が沸いてきていたそうだ。
先週末に、奈良の東吉野村に泊まりがけでアートキャンプに出かけた。障がいある人とアーティストが自然の中で出会うプログラム。ワークショップの間中、みんなの輪からすこし離れる少年がいた。少年は、銀杏の木の下がお気に入りのようだった。銀杏の木の下の石の上に立って、手に取った葉っぱを眺め、川の音を聞いているようだった。お母さんに聞くと、大きな音が苦手で、銀杏の葉っぱは象に似ているから好きとのことだった。山の向こうに日が沈み、ブルーが立ちこめはじめる中に、少年は立っていた。お母さんは、「この子は、夕暮れが好きなんです。だんだんと宇宙になっていく感じがして。」と言った。
(佐久間新)
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