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ワヤン(影絵芝居)の絵本
先日、福音館書店から絵本が届いた。数日経って、乾千恵さんからも届いた。

「山からきたふたご スマントリとスコスロノ」
http://www.fukuinkan.co.jp/detail_page/978-4-8340-2452-4.html

千恵さんとご両親が日本へ帰ってきたのだ。本は出来立てのホヤホヤ。2009年6月20日発行。ちょうど本が出来上がる頃、ジョグジャカルタで「ワヤン・フェスティバル」があり、乾家のみなさんはそれを見に行っていたのだ。去年に引き続き、ジョグジャの我が家に滞在された。電話で話した千恵さんのお母さんによると、宇宙支配の神様(ブトログル)の思し召しで、今回も奇跡の連続のようにいろんな方や出来事に遭遇されたそうだ。

僕が初めてジャワでワヤン(影絵芝居)を見たのは、1992年。泊まっていたソロの宿ジョヨクスマンからGL-PROというホンダの125ccのバイクに乗ってクラテンの村を目指した。近くに着いたようだが、田舎道は真っ暗で、会場が分からない。何せワヤンは厄よけなどのために個人の家で行われるので、目印がない。道端で、歯だけを浮かび上がらせて暗闇に溶けこんでたむろする若者にたずねたが、なんだか要領を得ない。気の良さそうなおじさんに声をかけると、ジャワ語でチンプンカンプン。当時の僕は、ジャワ語どころかインドネシア語も片言だった。それでも、何度も聞いたり、土の道に地図を書いてもらったりして、だいぶ接近してきたようだ。

バイクのエンジンを止めると、田んぼではカエルが鳴いている。夜風が涼しい。と、かすかに風に乗って、ガムランの音が聞こえてきた。音をたよりに近づいていくと、グンデルの音、ダラン(人形遣い)の声、そして観衆の笑い声が聞こえてくる。こんもりとした木々の向こうにはテントがあり、白熱灯が光っている。眼鏡をかけ、ひげを蓄えたダランが手に持った人形をクルッ、クルッと放り投げては見事にキャッチする。白い幕の前に置かれた大きな木の箱から、助手がドンドンと人形を出していく。張り付いたかと思った影は、スッと幕から離れ、別の空間へと飛んでいく。すると新しい影が彼方からピュッと飛んでくる。めまぐるしく、登場人物が入れ替わる。七色の声がそれを演じ分ける。ホォ??、朗々と歌いはじめたかと思うと、足の指に挟んだ小槌で、金属の板を打ち付け、ガムラン奏者たちにキューを送る。一斉に20人近い奏者が船出のようにガムランを漕ぎだす。夜半過ぎの道化が出て来るシーンでは、歌手の女性やお客さんにもちょっかいを出して、大爆笑をとる。そして、物語は、丑三つ時を佳境へ向けて進んでいく。明け方までダランの八面六臂の活躍は続くのだ。


あとがきで、日本ワヤン協会の松本亮さんがあるジャワ人言葉を書いている。
「よく外国のひとは、ワヤンはガムラン音楽や人形が美しい、と言います。でもそれだけじゃないんです。むしろそれは二の次で、ジャワ人たちは、ほんとうはダランの語る物語を聞いて、徹夜のワヤンに心をしめつけられたり、涙をながすのです。」

スマントリとスコスロノのふたごの物語。心がしめつけられます。車いすの千恵さんと、そしてきっと2人3脚でお母さんも一緒に作り上げた絵本。千恵さんのような人がこの物語を紹介することにもきっと宇宙支配の神様の働きがあるんだろうな。
(佐久間新)
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