さあ、後もう少し、旅日記の続きを書こう。
10月5日金曜日
ホテル「菩提樹の下」で朝食。8時20分、先生方と話をするために、野村クン、真さんとASO養護学校へ出発。先生方は、僕らの試みを興味深く思っているようだった。今日が最後のワークショップなので、みんなに日曜日のコンサートに出演したいかどうかの再確認を行った。通訳のはる香さんを伴って、ひとり一人に直接聞いた。
車椅子でほとんど身体が動かないけれど必死で野村クンの鍵ハモを弾いていたMT君、真さんと秘やかな演奏をしていたM君、デジカメで写真を撮るパフォーマンスをし続けたJ君、僕と遊んでいたF君は、みな同じクラスで、出たいと即答してくれた。同じクラスだけれどワークショップに参加せずに教室で絵を描き続けていたEさんは、出ないと返事した。
僕と遊んでいたT君とP君は別のクラスだった。別のクラスからわざわざ参加していたのだと、この時に始めて知った。P君はOKと即答。。T君はなかなか返事をしなかったが、最後にはOKの返事をした。自分たちの遊具でばかり遊んで、なかなかガムランも弾かないし、ダンスもしてくれないんだけど、やっぱり一緒にやりたいのだ。今日が最後のワークショップだよ、と野村クンがみんなに伝えた。
10月5日金曜日
ホテル「菩提樹の下」で朝食。8時20分、先生方と話をするために、野村クン、真さんとASO養護学校へ出発。先生方は、僕らの試みを興味深く思っているようだった。今日が最後のワークショップなので、みんなに日曜日のコンサートに出演したいかどうかの再確認を行った。通訳のはる香さんを伴って、ひとり一人に直接聞いた。
車椅子でほとんど身体が動かないけれど必死で野村クンの鍵ハモを弾いていたMT君、真さんと秘やかな演奏をしていたM君、デジカメで写真を撮るパフォーマンスをし続けたJ君、僕と遊んでいたF君は、みな同じクラスで、出たいと即答してくれた。同じクラスだけれどワークショップに参加せずに教室で絵を描き続けていたEさんは、出ないと返事した。
僕と遊んでいたT君とP君は別のクラスだった。別のクラスからわざわざ参加していたのだと、この時に始めて知った。P君はOKと即答。。T君はなかなか返事をしなかったが、最後にはOKの返事をした。自分たちの遊具でばかり遊んで、なかなかガムランも弾かないし、ダンスもしてくれないんだけど、やっぱり一緒にやりたいのだ。今日が最後のワークショップだよ、と野村クンがみんなに伝えた。
気づくと、幸弘さん、アナンさん、スボウォさんもすでに来ていた。9時20分、最後のワークショップを開始する。3人組のひとりF君が、なんとガムランをやり出した。前回も少しはやっていたが、この日は自分から進んでガムランに入り、楽器を叩いたり、指揮者になったりしている。すごく指揮がうまい。その様子を見たP君もガムランに入ってきた。同じように指揮をやり出した。二人で得意になって、指揮者合戦をしている。しかし、3人組のリーダーであるT君は、そこに入ることはなかった。時には、僕と一緒に身体を動かして、ダンスをしたけれど、最後まで倉庫と遊具の間を二人でもみくちゃになりながら、行ったり来たりし続けた。
11時ワークショップ終了。BORG高校へ、シュテファンの運転するバンで向かった。
野村クンが、
「T君はどうだった?」
と聞くので、
「難しいね・・・。」
と答えると、
「いい所をほめないとダメだよ。そうしないと彼も何をやっていいのか分からないんだよ。」
と返してくれた。確かにそうである。反省した。コミュニケーションを取ろうと焦るばかりで、ほめることをおろそかにしていた。でも・・・、何か言い返したかったが、言葉が出なかった。う?ん・・・、何が足りなかったのか、あるいは、何かが多すぎたのか。熱くほてった頬と血の滲んだ耳の感触を確かめながら考えたが、考えはまとまらなかった。
11時から15時まで、牛肉入りシチューとジャガイモの昼食を挟んで、高校生と最後の練習をした。こちらは順調である。
フェスティバル事務所へ寄って、ホテル・ウンテル・デン・リンデンへ戻ったら、16時だった。少しウトウトできた。
17時、スタジオFunk und kusteに集合。メンバーが来るまで、スタジオの中にあったオーストリアの現代美術について書かれた大判の美術書を見ていると、このスタジオについての記述もあった。障害のある人たちとのアート活動もしているようだった。と、メンバーが三々五々集まってきた。バリガムランの所有者である長身のマックスは、最初は様子を見に来ただけだったが、すっかり気に入って参加している。長髪をラスタヘアにした若者、見た目は真面目そうだが踊るとはじける眼鏡の男性、くわえタバコでチェコ製のバンに乗って現れる赤毛の女性、手足が長くて目をむいた怒り顔が得意の女性、などなどの個性的な面々が揃っている。この日は、長身のマックスといい感じでダンスができた。終わった後、彼に感想を聞くと、こんなに自由にダンスができたのは初めてだと言ってくれた。
19時30分、長い即興が終わってスタジオ「ラジオ電波と海岸線」を出ると、ヨークからやぶちゃんが到着していた。みんなですぐ横のレストランKlosterstuberlへ入った。僕は、この間食べてとてもおいしかったので、鮭のホイル包み焼きを注文した。今日から、フェスティバルが始まっているので、食事を早めに切り上げて、会場のMinoriten kircheへ急いだ。これもすぐ横である。古い教会を改装したコンサートホールである。ガラス張りの入り口から中へ入ると、薄暗い中にブルーと赤のライトが所々に光っている。スピーカーがステージの両サイドに高く積み上げられ、客席の中央上手寄りの所には、巨大な司令室のようなミキシング装置が組まれ、下手側に壁際には、バーカウンターが作られている。客席は300席ぐらいで、ぎっしりと人が埋まっている。
最初のグループのEnsembele Extended Heritageはもう終わっていて、2番目のFranz Hautzinger Trunpetorchestraが始まっていた。トランペット6台とチューバ2台の編成だ。ひとり一人が単音をロングトーンで吹いている。教会全体に音の渦が生まれている。ペットボトルの水を飲みながら、黙々と自分の音を重ねていく。司令室の人影も黙々と操作している。ひたすらに音が鳴り響く。そしてやがて、止んだ。
ブラボー!ブラボー!客席が湧いた。
休憩。前の方に座っていた野村クンとやぶちゃんと出会う。
「もったいないね?。」
と、野村クン。そう、もったいないのだ。せっかく8人で吹いている音を聞きたいのに、ミキサーが存在感を出し過ぎているのだ。ミキサーのために作品だったのだろう。生で聞きたいね、と感想を言い合った。
22時、3番目のMitterer, Monolake&Lillevanが始まる。あまりの大音量に耐えきれず、スボウォさんと会場から出ると、帰り道で野村クンとやぶちゃんと一緒になった。後で聞くと真さんと幸弘さんは、僕らより一足早く出たそうだ。アナンさんはなんと最後まで見ていたそうだ。彼はテクノロジーが大好きなのだ。
やぶちゃんが来たので、今日から野村クンが僕の部屋に引っ越してきた。相部屋生活に逆戻りである。3人で、2時頃までしゃべった。日曜日のコンサートのプログラムを考えた。今日までやって来たワークショップの成果をまとめなければならないのだ。
11時ワークショップ終了。BORG高校へ、シュテファンの運転するバンで向かった。
野村クンが、
「T君はどうだった?」
と聞くので、
「難しいね・・・。」
と答えると、
「いい所をほめないとダメだよ。そうしないと彼も何をやっていいのか分からないんだよ。」
と返してくれた。確かにそうである。反省した。コミュニケーションを取ろうと焦るばかりで、ほめることをおろそかにしていた。でも・・・、何か言い返したかったが、言葉が出なかった。う?ん・・・、何が足りなかったのか、あるいは、何かが多すぎたのか。熱くほてった頬と血の滲んだ耳の感触を確かめながら考えたが、考えはまとまらなかった。
11時から15時まで、牛肉入りシチューとジャガイモの昼食を挟んで、高校生と最後の練習をした。こちらは順調である。
フェスティバル事務所へ寄って、ホテル・ウンテル・デン・リンデンへ戻ったら、16時だった。少しウトウトできた。
17時、スタジオFunk und kusteに集合。メンバーが来るまで、スタジオの中にあったオーストリアの現代美術について書かれた大判の美術書を見ていると、このスタジオについての記述もあった。障害のある人たちとのアート活動もしているようだった。と、メンバーが三々五々集まってきた。バリガムランの所有者である長身のマックスは、最初は様子を見に来ただけだったが、すっかり気に入って参加している。長髪をラスタヘアにした若者、見た目は真面目そうだが踊るとはじける眼鏡の男性、くわえタバコでチェコ製のバンに乗って現れる赤毛の女性、手足が長くて目をむいた怒り顔が得意の女性、などなどの個性的な面々が揃っている。この日は、長身のマックスといい感じでダンスができた。終わった後、彼に感想を聞くと、こんなに自由にダンスができたのは初めてだと言ってくれた。
19時30分、長い即興が終わってスタジオ「ラジオ電波と海岸線」を出ると、ヨークからやぶちゃんが到着していた。みんなですぐ横のレストランKlosterstuberlへ入った。僕は、この間食べてとてもおいしかったので、鮭のホイル包み焼きを注文した。今日から、フェスティバルが始まっているので、食事を早めに切り上げて、会場のMinoriten kircheへ急いだ。これもすぐ横である。古い教会を改装したコンサートホールである。ガラス張りの入り口から中へ入ると、薄暗い中にブルーと赤のライトが所々に光っている。スピーカーがステージの両サイドに高く積み上げられ、客席の中央上手寄りの所には、巨大な司令室のようなミキシング装置が組まれ、下手側に壁際には、バーカウンターが作られている。客席は300席ぐらいで、ぎっしりと人が埋まっている。
最初のグループのEnsembele Extended Heritageはもう終わっていて、2番目のFranz Hautzinger Trunpetorchestraが始まっていた。トランペット6台とチューバ2台の編成だ。ひとり一人が単音をロングトーンで吹いている。教会全体に音の渦が生まれている。ペットボトルの水を飲みながら、黙々と自分の音を重ねていく。司令室の人影も黙々と操作している。ひたすらに音が鳴り響く。そしてやがて、止んだ。
ブラボー!ブラボー!客席が湧いた。
休憩。前の方に座っていた野村クンとやぶちゃんと出会う。
「もったいないね?。」
と、野村クン。そう、もったいないのだ。せっかく8人で吹いている音を聞きたいのに、ミキサーが存在感を出し過ぎているのだ。ミキサーのために作品だったのだろう。生で聞きたいね、と感想を言い合った。
22時、3番目のMitterer, Monolake&Lillevanが始まる。あまりの大音量に耐えきれず、スボウォさんと会場から出ると、帰り道で野村クンとやぶちゃんと一緒になった。後で聞くと真さんと幸弘さんは、僕らより一足早く出たそうだ。アナンさんはなんと最後まで見ていたそうだ。彼はテクノロジーが大好きなのだ。
やぶちゃんが来たので、今日から野村クンが僕の部屋に引っ越してきた。相部屋生活に逆戻りである。3人で、2時頃までしゃべった。日曜日のコンサートのプログラムを考えた。今日までやって来たワークショップの成果をまとめなければならないのだ。
(佐久間新)
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