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Gamelan Marga Sari -Blog-

*ガムラン マルガサリ*のメンバーによるブログです.
やすりとハンマーと緑の石
10月7日
9時すぎに北野白梅町にあるウィークリーマンションへ,ガムラン調律師のスグンさんを迎えに行く。内線電話をしても、呼び鈴を鳴らしても出てこない。歩いて立命館へ行ったかと,大学まで行ってみるがいない。そうこうするうちに部屋から出てきた。なんとシャワーをしていたとのこと。

10時前から調律を始める。鉄琴のようなサロンやグンデルは,ヤスリやグラインダーでどんどん削って行く。真ん中や端っこを削って、音高を変えて行く。5年間も倉庫に眠っていたので,かなり調律が狂っている。というか、5年前に演奏したときからかなり狂っていたのだ。僕は,スグンさんの横で、仕上がった鍵盤を磨いた。バトゥ・ヒジョウ(緑の石)をガソリンに溶かし,ぼろ布に染み込ませて鍵盤をこすり,後でからぶきをする。見事に輝きはじめる。くせになりそうである。輝きに魅せられるのだ。

昼過ぎまでがんばって、休憩。この楽器は,5年前にジョグジャカルタ特別州から京都府に送られたのだが,紆余曲折があり、立命館におかれることになったのだ。見事なフルセット。今回,ジョグジャ京都友好提携25周年記念公演のために、調律をすることになった。全部やるのに4日間はかかる。今日で、3日目。なんとか先が見えてきた。

ちょっとリッチな学食「カルム」で、サワラの西京焼弁当を食べて,午後からもがんばる。スグンさんは,鍵盤からお鍋型のボナンに取りかかった。ボナンは、主に叩いて調律をする。レールの切れ端にボナンを乗せて,ハンマーでがんがん叩く。かなり豪快だ。ガムランの調律は豪快に見えるが、実は繊細な面もある。グンデルを調律した後,調律する楽器とグンデルを交互に叩き,共鳴させて、音高を決めて行く。調律師の中には,セント値をはかる器具を使う人もいる。午後からのボナンは,調子よく進んで行った。僕もどんどんと磨いて行った。5時前に作業終了。

この日,スグンさん以外の舞踊家や演奏家18人が来日した。はるかと地下鉄タクシー乗り継いで、どうにかホテルへ到着していた。みんな疲れきっていたが,7時からスペース天で練習があったので,演奏家4人とスグンさんと舞踊家のアリンさん、そして王様の弟のグスティ・ユドさんが、僕と真さんの車に分乗して、天へ向かった。

9時まで練習をし,一行へホテルへ送り届け,とんぼ返りして,豊能の家へ戻ると,日付が変わる頃だった。星がきれいだった。カシオペヤが北の空に上がっていた。さてと、日曜日まで,忙しくなりそうだ。
(佐久間新)

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デンマークの芭蕉
10月6日
北白川に住むデンマーク人茶人の怪人ビスゴーさん宅へ,バナナの木を取りに行く。呼び鈴の無い玄関を開けて,ごめんくださいといいながら入って行くと,スンダのガムランが聞こえてきた。甘い歌声と子気味良い太鼓の響き。生成りの詰め襟を着たビスゴーさんが迎えてくれる。床の間に座ると,マッチを灯して,蝋燭とあんどんに火をつける。柔らかな明かりが部屋に満ちる。デンマークには,火に感謝するキリスト教以前のお祭りがあるという。

美人のお弟子さんが、薄いクッキーとお茶を持って来る。僕はいつもより丁寧に飲んでしまうが、ビスゴーはホイッって感じでアッサリと飲む。しばらくすると、美人さんがもう一度あらわれる。さっきのお茶は失敗だったという。おいしかった気がするが,あたらしいのを飲むとさすがに一段階違う味だった。ジャワやバリの話が尽きない。

夏にコンサートに来た時に,イウィンさんがバナナの葉っぱが欲しいと言ってもらって帰った。家で蒸し菓子を作りその写真をメールで送ると,ビスゴーさんから「バナナが育っているから取りに来て!」と連絡があった。彼は、以前は一乗寺のあたりに住んでいて,そこにはバナナがいっぱいなっていて,これはそのバナナの生き残りなのだ、と。松尾芭蕉は,一乗寺に住んでいたことがあり,その縁で名前を
芭蕉にしたというのだという。バナナの和名は芭蕉だけど,ほんとかなあ?まあ、とにかく由緒あるバナナの木が、我が家へ来ることになった。春までは鉢の中,暖かくなったら,外へ植え替えてやろう。
(佐久間新)

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