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Gamelan Marga Sari -Blog-

*ガムラン マルガサリ*のメンバーによるブログです.
「ngeng」について再び
ng ではじまる単語がジャワ語にはあります。
喉の奥、のどちんこの辺りが狭まって、ネチャッとくっつく感じ。その形を作った後、母音の喉の形をして、ゆっくりと息を吐き出して発音する。上あごや頭蓋骨まで響くような感じです。

ng でおわる単語もたくさんあります。ガムランの楽器の名前の多くがそうです。
gong, bonang, kenong, kempyang, suling, gambang,

日本人が普通に、あんパン、おっさん、知らんかったん?とか言うと、
ampang, ossang, sirang kattang,

て聞こえます。イウィンさんはそうやって日本語を書き取っていました。香港は、ホンコンですが、Hong Kongと綴りますよね。普通に言えば、ng 終わりになるんですよね。これは、リラックスして、口を開いて、舌が宙ぶらりんの状態です。音が響いて残る感じ。音が響いて残るので、楽器の名前になっているんでしょうね。

同じ「ン」でも、
n でおわる単語の発音は違います。
makan(食べる), ikan(魚), durian(ドリアン), asin(塩辛い)
これは、日本語で普通に「パンダ」と言う時に、「ダ」の直前の口の形で止める感じです。感じとしては、「パンダ」と3回言って、3回目に「パンダ」というつもりで止める。「パンダ、パンダ、パン(ダ)」。舌が上前歯の手前の辺りに止まる。口腔が舌にふたされて、それで音が響かない。

なので、「ngeng」は、喉の奥から口腔全体、頭蓋骨まで響かせる音です。実際に、声を出し合って、みんなでチューニングを合わせたのかも知れません。「ngeng」の説明をする時に、何人かのジャワ人は、tuned in という言葉を使いました。そう考えると、声明やホーメイなんかとも共通点が出てきそうです。
(佐久間新)

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「をちこち」に原稿を書きました。
助成してもらった国際交流基金からの依頼で、先月の「マンディ・スニ・サマサマ」ツアーの報告原稿を書きました。「をちこち」とういう基金が発行する雑誌に掲載されます。

1週間足らずの短い旅でしたが、盛りだくさんで、指定の4千字にまとめるのに苦労しました。同行メンバーで、インドのバンスリー奏者のHIROSさんがブログに旅日記を掲載しています。こちらは、文字制限がないので、なんと4万字以上の大作です。
http://hirosbansuri.blog32.fc2.com/blog-entry-2.html

この日記にもあるように、メンバーは個性的かつバッググラウンドがさまざまでした。現地の段取りは、もちろん!ジャワ的なユルユル感のあるものでした。旅行中、このツアーの意義について、メンバー間で疑問が出されたりして、大きな振幅の中で、ああでもない、こうでもないと、夜更け過ぎまで語り合いました。

帰国後、この雑誌のために原稿を書くことになって、自分なりにだいぶ整理されました。いい機会になりました。今後も、ガムランエイドの活動は、日本とジャワで続けられる予定です。記事は、8月に発行されるので、また読んで頂ければ幸いです。「ngeng」についても書いています。

『をちこち』(http://www.jpf.go.jp/j/publish_j/wochikochi/index.html)は、国際交流基金が隔月発行し、山川出版社より販売している国際交流誌です。毎号、国際交流や異文化に関心を持つ一般読者に向けて、特集を組んで制作されています。

掲載誌『をちこち(遠近)』24号、 2008年8月1日発行は、インドネシアが特集されるそうです。
山川出版社発売/定価525円(税込)/B5版
※日本国内の主要書店と、主要オンライン書店でお取り扱いがあります。
※JALの国際線でも読めるそうです。
(佐久間新)
キーワードは、「ngeng」
ガムランエイドプロジェクトのツアーでジャワへ行って来た。ジョグジャへ着いた翌日、朝から震災被害を受けた村を2カ所訪問し、ジャワ舞踊を踊ったり、即興舞踊をしたりした。夜は、バゴン・クスディアルジョ舞踊学校で行われている舞踊コンテストを見学し、その後で、現地のカウンターグループであるフォーラム7とミーティングを行った。音楽家のジャドゥッ・フェリアントさんから私たちの活動のキーワード案が出された。ジャワ語の「ngeng」という言葉である。鼻にかけて、「グン」という感じ。なかなか発音しにくく、直訳しにくい言葉であるが、ジャワの音楽家の間ではしばしば使われる用語とのことだった。僕にとっても聞き慣れない言葉だったので、何人かの人に「ngeng」ついて聞いてみた。

「ngeng」とは、空っぽであり、かつ、詰まっている状態。アイデアが無いようでもあり、かつ、満ちているようでもある状態。バリ人が言う、「taksu」と共通するという。「taksu」とは、意識と無意識、良い心と悪い心、合理性と直感、など明確に区別することができないものを含み込んだ創造する力のこと、あるいは、その領域にある純粋な創造性の周波数に、波長が合っている、ということであった。

 時刻は午前0時を大きくまわり、オフィスにいるメンバーの多数は疲労しきっていたが、僕の頭はますます覚醒していた。ジャワ舞踊を踊っている時、僕はラジオのような受信機になっている気がするのだ。自分から発するのではなく、ある波に同調して、それにからだを沿わせていく時もあるし、あるいは、その波が自分のからだを突き動かすこともある。そんなイメージを持っていたので、「ngeng」という言葉を聞いて、頭が興奮していたのだ。
(佐久間新)
花の舞い
森のコモンズも終わり、マンディ・サマサマのジャワツアーも終わってしまいました。いろいろ書きたいことはあるのですが、なんだかバタバタしていて、気づけば外では、蛍が飛びちがっています。

滋賀県にある碧水ホールのレジデンスガムラングループ、ティルト・クンチョノの定期演奏会が明日に迫っています。「桃太郎」や「野村誠の世界」で、何度となく踊っているホールです。7年前に、元館長の英断でガムランを購入し、市民グループが結成されました。以来、ジャワの古典曲と共に現代ガムランや新作ガムランにも挑戦しています。

http://www.jungle.or.jp/sazanami/gamelan/

ティルト・クンチョノの定演は6月8日(日)午後3時から。曲目は、第1部「ティルト・クンチョノ」「サリクスモ」「スメダン?ゴンジャンガンジン」、第2部マイケル・ナイマン「タイムズアップ」創作影絵「りこうな子ども(スラウェシの民話から)」。入場料は確か500円。ティルト・クンチョノ以外に、家高洋、中川真、ロフィット・イブラヒムが賛助出演。創作影絵では、ガムランに、エレキ・ベースが加わります。

昨晩、ジャワ舞踊「サリ・クスモ」を踊る小松道子さんに頼まれてプログラム用の原稿を書きました。明日は、インドネシア語の講座があり、残念ながら見に行けません。大成功を祈っています。



サリ・クスモ
花の舞い。サリもクスモも花という意味である。一輪の花の蕾がそうっと膨らみ、かすかに花びらがのぞく。やがて、咲き誇った花びらは散っていく。花の一生のような舞い。

物言わぬ花は、何を思い咲くのだろうか。蕾は力を内に秘め、雄しべは危ういバランスを保って揺れ、雌しべは密かにたたずむ。花は、ゆっくり朽ちていくのか、潔く散るのか。

物言わぬ踊り手は、何を思い舞うのだろうか。言わぬが花か。ただ、ガムランの風に乗って、からだをなびかせればいいのだが、それが実に難しい。

花のようにではなく、花になって舞いたい。
(佐久間新)

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