2007年のザ・フェニックスホール、碧水ホールに続いて、三輪眞弘さんの「愛の讃歌」。ついに野外へ飛び出します。「愛の讃歌」に関して、すこし振り返って見ました。
●●●
三輪眞弘さんとマルガサリのコラボレーション作品である「愛の讃歌」は、2007年3月に、ザ・フェニックスホールで行われた「ガムラン・コモンズ」のコンサートで初演された。
その公演からさかのぼって、2005年12月、中川真さんと共にイアマス(岐阜県立情報科学芸術大学院大学)の三輪さんのオフィスを訪ねた。5年越しで取り組んでいた桃太郎の次のプロジェクトとして、三輪さんに作品を書いてもらうためだった。三輪さんは大いに関心を示してくれて、三輪さんとのプロジェクトは数年がかりで取り組むことになった。(その後、桃太郎は進化を続け、現在でもプロジェクトは継続中。今年は、インドネシア公演を行うことになっている。)そして、マルガサリがザ・フェニックスホールから公演を依頼されたのを受けて、2006年10月に再びオフィスを訪れた。三輪さんとのプロジェクトの第1段階として、ザ・フェニックスホールのコンサートに向けて作品を制作することになった。12月には、三輪さんから曲に関する具体的な指示の書かれた最初のメールが送られてきた。
FourBits-Gamelan の準備
と書かれており、以下のような指示が書かれていた。
・・・
下記、4つの o と x からなる、0から16までのリズムパターンを番号に従っていつでも演奏できるように暗記してください。その際、o は16分休符、x は16分音符とし、リズムパターンひとつが4分音符のまとまりと考えます。
0: o o o o 8: o o o x
1: x o o o 9: x o o x
2: o x o o 10: o x o x
3: x x o o 11: x x o x
4: o o x o 12: o o x x
5: x o x o 13: x o x x
6: o x x o 14: o x x x
7: x x x o 15: x x x x
・・・
2進法が4桁まで進んでいくのが楽譜になっているのだ。マルガサリのメンバーは、口や手拍子で試みた。器用なメンバーはすぐに理解し、すぐにかなりのスピードで出来るようになった。美術が専門の原田さんが意外なことを言い出した。
「私には、月の満ち欠けのように考えた方がやりやすい。」
左から右へと時間が進行する楽譜と考えるのではなく、「田」の字のように4つのマスを考えて、o を明、x を暗、と考えるというのである。さすが美術家、頭がビジュアルである。僕はダンサーなので、そのビジュアル案を動きに変えてみた。
親指を上にしてグーを握る。左右の手を合わせる。二人組になって4つのグーを合わせる。つまり、「田」の字を手で作るのだ。o は、親指をそのまま、x は、親指を立てる。
相手 手手 3桁4桁
自分 手手 2桁1桁
という風にすると、0番から順番に、
0 1 2 3
o o o o o o o o
o o o x x o x x
4 5 6 7
o x o x o x o x
o o o x x o x x
という具合なる。最初は混乱するが、慣れるとすぐに早くできるようになる。しばらくすると、あることを発見する。自分の右手、つまり右下の1桁目は、規則的に動いているのだ。
o x o x o x o x
とくり返している。オン・オフの繰り返し。まさにデジタルの動きなのだ。このことは、手や手拍子でしている時、あるいは、月の満ち欠けで考えている時は、そんなに感じられない。その後、僕たちは、これ以外にもフォービッツ・ガムランの中にいろんな発見をしていくのだった。
●●●
三輪眞弘さんとマルガサリのコラボレーション作品である「愛の讃歌」は、2007年3月に、ザ・フェニックスホールで行われた「ガムラン・コモンズ」のコンサートで初演された。
その公演からさかのぼって、2005年12月、中川真さんと共にイアマス(岐阜県立情報科学芸術大学院大学)の三輪さんのオフィスを訪ねた。5年越しで取り組んでいた桃太郎の次のプロジェクトとして、三輪さんに作品を書いてもらうためだった。三輪さんは大いに関心を示してくれて、三輪さんとのプロジェクトは数年がかりで取り組むことになった。(その後、桃太郎は進化を続け、現在でもプロジェクトは継続中。今年は、インドネシア公演を行うことになっている。)そして、マルガサリがザ・フェニックスホールから公演を依頼されたのを受けて、2006年10月に再びオフィスを訪れた。三輪さんとのプロジェクトの第1段階として、ザ・フェニックスホールのコンサートに向けて作品を制作することになった。12月には、三輪さんから曲に関する具体的な指示の書かれた最初のメールが送られてきた。
FourBits-Gamelan の準備
と書かれており、以下のような指示が書かれていた。
・・・
下記、4つの o と x からなる、0から16までのリズムパターンを番号に従っていつでも演奏できるように暗記してください。その際、o は16分休符、x は16分音符とし、リズムパターンひとつが4分音符のまとまりと考えます。
0: o o o o 8: o o o x
1: x o o o 9: x o o x
2: o x o o 10: o x o x
3: x x o o 11: x x o x
4: o o x o 12: o o x x
5: x o x o 13: x o x x
6: o x x o 14: o x x x
7: x x x o 15: x x x x
・・・
2進法が4桁まで進んでいくのが楽譜になっているのだ。マルガサリのメンバーは、口や手拍子で試みた。器用なメンバーはすぐに理解し、すぐにかなりのスピードで出来るようになった。美術が専門の原田さんが意外なことを言い出した。
「私には、月の満ち欠けのように考えた方がやりやすい。」
左から右へと時間が進行する楽譜と考えるのではなく、「田」の字のように4つのマスを考えて、o を明、x を暗、と考えるというのである。さすが美術家、頭がビジュアルである。僕はダンサーなので、そのビジュアル案を動きに変えてみた。
親指を上にしてグーを握る。左右の手を合わせる。二人組になって4つのグーを合わせる。つまり、「田」の字を手で作るのだ。o は、親指をそのまま、x は、親指を立てる。
相手 手手 3桁4桁
自分 手手 2桁1桁
という風にすると、0番から順番に、
0 1 2 3
o o o o o o o o
o o o x x o x x
4 5 6 7
o x o x o x o x
o o o x x o x x
という具合なる。最初は混乱するが、慣れるとすぐに早くできるようになる。しばらくすると、あることを発見する。自分の右手、つまり右下の1桁目は、規則的に動いているのだ。
o x o x o x o x
とくり返している。オン・オフの繰り返し。まさにデジタルの動きなのだ。このことは、手や手拍子でしている時、あるいは、月の満ち欠けで考えている時は、そんなに感じられない。その後、僕たちは、これ以外にもフォービッツ・ガムランの中にいろんな発見をしていくのだった。
(佐久間新)
スポンサーサイト
桜と赤いモクレンがうわ?っと花びらを開いて、それから桜の葉っぱもどんどん出てきました。我が家のまわりは一気に春を通り過ぎて、風が薫ってきました。朝飯前に、スコップ片手にブナと家の裏の藪を探すと、にょっきり顔を出しています。タケノコが。今朝の収穫3本。そのままみそ汁に入れて食べました。昨日の夕方に、今年始めて出ているのを確認していたのでした。これからしばらくは、毎日楽しめそうです。
タケノコといえば、子供の頃、僕は大きな竹藪が残る千里ニュータウンに住んでいました。小学校6年の時、友だちとタケノコ掘りに出かけ、大きなゴミ袋に何杯もタケノコを掘ってきました。団地へ戻って皮をむいたら、どんどん皮がむけて、小指の先ほどの芯しか残りませんでした。地面からすっかり出てしまったのを取っていたんでしょうね。
我が家のまわりにもスペース天のまわりにも竹藪がたくさんあります。大家さんの所有ですが、竹が増えて困っているので、タケノコ掘り放題です。お近くにお越しの方は、ご一報下さい。一緒にタケノコを掘って、七輪で焼いて食べましょう!
タケノコといえば、子供の頃、僕は大きな竹藪が残る千里ニュータウンに住んでいました。小学校6年の時、友だちとタケノコ掘りに出かけ、大きなゴミ袋に何杯もタケノコを掘ってきました。団地へ戻って皮をむいたら、どんどん皮がむけて、小指の先ほどの芯しか残りませんでした。地面からすっかり出てしまったのを取っていたんでしょうね。
我が家のまわりにもスペース天のまわりにも竹藪がたくさんあります。大家さんの所有ですが、竹が増えて困っているので、タケノコ掘り放題です。お近くにお越しの方は、ご一報下さい。一緒にタケノコを掘って、七輪で焼いて食べましょう!
(佐久間新)
マルガサリは、5月10日と11日にコンサートに出演参加する予定です。
「森のコモンズ」(第2回現代アートの森)
■会期
5月4日?11日
■会場
スペース天、TeNBA-Aとその周辺
会場へのアクセス情報などはこちらをごらんください。
「森のコモンズ」(第2回現代アートの森)
■会期
5月4日?11日
■会場
スペース天、TeNBA-Aとその周辺
会場へのアクセス情報などはこちらをごらんください。



マルガサリとダルマブダヤに作品を作るために、オーストラリアからデビッド・コットロゥイさんが大阪に滞在している。アデレード大学で、アボリジニの人たちに作曲を教えていたり、壊れたピアノのために作品を書いて、砂漠で演奏会をしたりするユニークな作曲家だ。5月10,11日に行われるスペース天10周年のコンサートで、ふたつのグループに書いたガムランを使った作品が発表される予定である。今日は彼を誘って、京都を散策した。
10時に京都駅で待ち合わせをした。彼は、滞在する大阪市大のゲストハウスからJR阪和線?環状線?東海道線に乗って、僕は亀岡に車を停めて福知山線で京都へ向かった。プラットホームで待ち合わせ、そこから地下鉄に乗って烏丸丸太町で下車。御所を通って相国寺へ向かった。中川真さんが、寺の中にある大光明寺の石庭を薦めてくれたのだ。ひっそりとしたお寺の門を開けて、石庭を見たいことを告げると、「どうぞ縁側に座ってみて下さい。」薄闇から優しい声が聞こえた。だれもいない縁側にデビッドさんとふたりで座り、石庭と竹藪に飛び交うカラスを眺めた。
そこから徒歩で糺の森へ向かった。森を通って下鴨神社へ入ると結婚式が行われていた。見事に着飾った新郎新婦がきれいだった。さらに徒歩で京都大学のキャンパスのある百万遍へ向かった。デビッドさんは歩くのが速いので、どんどん移動できてしまう。百万遍にある料理屋さんで昼の定食を食べた。なかなかおいしかった。
市バスに乗り、銀閣寺を目指した。ものすごい人であるが、庭園は美しく、なかでも苔の美しさにデビッドさんは感心していた。哲学の道を歩き、法然院へ行った。こちらは静かである。ここの本堂では何度か踊ったことがある。門を出て坂を下ったところでハッとした。椿の赤い花が階段に見事に散らばっているのだ。正確に言うと散らばっていないのだ。誰かが並べたしか思えないくらい見事に20センチほどの等間隔で、花が水玉模様のように並んで落ちているのだ。
京都を散歩していると、作為、自然、アート、生活が混在していて本当に楽しくなってくる。さて、デビッドさんはどんな刺激を受けたのだろうか。
5月の本番まで、彼との作品づくりが続きます。
写真は、先日のカフェガムランのものです。撮影は、岡部太郎さん。
岩茶がおいしそうです。
(佐久間新)
| HOME |