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Gamelan Marga Sari -Blog-

*ガムラン マルガサリ*のメンバーによるブログです.
45年前と65年前
木曜日の夜から山口へ出かけた。マルガサリの中川真さんと車を交代で運転しながら、夜間割引の始まる午前0時防府東インター着を目指した。インターから30分で湯田温泉にある水谷由美子さんのマンションに到着した。水谷さんとは20年来の知り合いで、彼女は山口県立大学の先生で、マルガサリの「桃太郎」の衣装を担当してくれている。

旅の目的は、3月にある「桃太郎」山口公演の準備と山口県立大学主催のフォーラムに参加することだった。フォーラムでは、真さんが「アートによる社会包摂」の発表をした。難しい言葉を使っているが、アートをしながら、社会のいろんな人を巻き込もう。そうすることによって、みんなにとって生きやすい社会を作りだそう、と言うことだ。そして、それはアートにとっても新しい可能性があるという考え方だ。マルガサリの「桃太郎」や「さあトーマス」の作品作りにもその考えが反映されている。なので、このふたつの旅の目的は重なっているのだ。

フォーラムの出席者のひとりに安渓遊地さんがいた。山口県立大学国際文化学部の先生で、専門はアフリカだという。真さんがフォーラムのプログラムを見ながら言った。

「僕な、この先生に40年以上前に会ったことあるねん。1回だけやけど、すごくよく覚えているわ。」

小学校から中学校へ上がる頃、親同士が知り合いだった関係で、同い年だった安渓くんが真さんの家へ遊び来た。親からは、あの子は毎日百科事典を隅から隅まで読んでいると聞かされていた。当時真さんは普通の子で、お気に入りの漫画やおもちゃを見せてあげたんだけど、安渓くんは全然興味を示さなかった。その時の安渓くんの顔を、未だに鮮明に覚えていると、身振り手振りで教えてくれた。

フォーラムの発表席に二人が並んでいた。真さんがいきなりそのことを話し始めた。
「実は、僕は安渓先生と45年前に一度出会ったことがあるんです。先生覚えてますか?」

「もちろん。」
と、安渓先生が答えた。真さんがさっきのエピソードを説明した。すると、今度は安渓先生が、
「今日、僕は、65年以上前に作られたこんな本を持ってきています。世の中に1冊しかありません。」
と、話し始めた。取り出した本は、真さんのお父さんである中川正文さんが安渓先生のお父さんの作った俳句をまとめた句集だった。

「うそー、わっほんまや!」
と驚かすつもりだった真さんが驚かされている。

打ち上げの席で、本を見せてもらった。古いが作りがしっかりしている。ケースから取り出して手に取ると、手書きの文字がやさしい味を出している。よく見ると直筆である。印刷でなく、ペンで直接書かれているのだ。大学の同級生だった友人の作った俳句を書き写して、きれいに装丁して本にしたのだ。裏表紙の奥付には、昭和16年10月30日書写、31日装丁、と書かれていた。そして、句集とは違う筆跡で、中川正文君の武運長久を祈ると書かれていた。お父さん同士、そして本人達同志も京都大学で同級生だったのだ。中川正文さんは、絵本作家であり、現在もご活躍中である。安渓先生のお父さんは数年前に亡くなられたとのことだった。
(佐久間新)


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テレビがやってきた
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火曜日。
関西電力が光ファイバーの室内工事にやってきた。ついに我が家も光ファイバーだ。大げさだが、一気に科学技術の進歩がやって来た感じだ。

・・・ ・・・

僕たち夫婦は、2000年1月にジャワで結婚し、1週間後に日本へやって来た。豊能郡の山里にある寒天倉庫を借り、大工の友人Iさんに手伝ってもらって、自分たちで改装を始めた。スコップで背丈より深い穴を掘って、トイレ用の600リットルのタンクを裏庭に埋めたり、漆喰の壁を塗り直したり、粗大ゴミ置き場から流し台を拾ってきたりした。トイレが出来た時点、ゴールデンウィークの頃、僕たちは寒天倉庫に引っ越した。窓から見える田んぼには、水が張られ、小さな苗がそよぎ、青空が映っていた。

それから7年9ヶ月の間、山間部なのでテレビがよく映らなかったのだ。NHK総合だけがまあまあ見えるくらいで、民放は見ていると頭が痛くなるような画像で、ほとんど見なかった。本当に頑張れば、映るようにする対策もあったのだが、NHKだけでも、慣れればどうってことなくて、快適な生活だった。


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看護学とダンス
先週の金曜日、千里の万博公園にある大阪大学コミュニケーションデザインセンターで、西村ユミさんと打ち合わせをした。23日に、阪大の石橋キャンパスのオレンジショップでワークショップをするためだ。

西村さんは看護学の先生。看護士としての経験の中で、いわゆる植物状態の患者との間にも、何らかのコミュニケーション(意志の交流)が成立することを実感したという。一般的な医学では否定されがちなそういった感覚を、看護士とのインタビューを通して、また現場の経験を丁寧に振り返ることによって、解き明かそうとされている。そして、看護というものが一方通行的にほどこされるものではなく、看護士と患者の身体が出会うところに生じる感覚によって成り立っているという、新しい看護の見方を発見された。現象学という哲学の手法を、実際の自分の体験や経験に引き寄せて語られる西村さんの文章にはすごく説得力がある。

僕は、障害のある人たちとダンスを踊る時、健常者と踊る時以上に、意志の交流や身体を通じたコミュニケーションを感じることがある。はっきりとは言葉に出来ないが、確かな「何か」があると実感する。
 
直感だが、西村さんと共有できることがたくさんあるような気がしている。じっくりと対話したり、身体を動かしたりしながら、「何か」を探りたいと思っている。


直前ですが、
明日、その第一歩の試みとして、大阪大学のオレンジショップ(石橋キャンパス)でワークショップをします。その場に居合わせた人や環境を感じて、まず踊ってみようと思っています。そこを出発点に、参加者でいろんなお話が出来ればいいなぁと思っています。
予約無しの飛び込みの参加も大歓迎とのことですので、興味ある方はぜひお越し下さい。(直前のご案内ですみません。)

http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/activity/view/117
(佐久間新)
積もってます。
土曜日。
昼から、スペース天の掃除。マルガサリのメンバーで集まって、遅ればせながらの大掃除。7時過ぎに、ダルマブダヤの奥村さんがグンデルを取りに来た。去年、スペース天に来ていた調律師のサロヨさんに楽器の調律を頼んでいて、それを取りに来たのだ。立ち話もなんだというので、我が家へ寄ってもらった。頂いたプリンを食べながら、ジャワの話やガムランを始めたきっかけなど、いろいろと話をした。

小さな頃からマリンバを習っていた奥村さんは、その後ビブラフォンをするようになり、5年くらい前にガムランに出会ったという。今でも、ビブラフォン奏者として、ジャズのライブに出演し、ガムランでも舞台に立っている。僕も舞踊を始めたきっかけの話などをした。気づけば11時を回っていた。あんまりゆっくりしていると、道路が凍結してしまうかもしれないので、名残惜しかったが帰ることになり、見送りに外へ出ると、明るい月のまわりに大きな光の輪が出来ていた。なんと呼ぶのだったろうか?とてもきれいだった。

日曜日。
昼間は子供と遊び、夜、家へ帰る途中で雪が降り出した。みるみる積もり始め、道路が真っ白になった。おそるおそる走って、なんとか家にたどり着いた。家の横の駐車場までは坂になっているので、国道脇へ停め、明日の朝のために、チェーンを巻いた。と、マルガサリの中川真さんから電話がかかってきた。彼は、ガムラン以外にもティンパニーを演奏する。今日はその練習があり、軽ワゴンでティンパニーをスペース天へ運んでいる途中、段々雪が降ってきたので、様子を聞くために電話してきたのだ。結局、軽ワゴンも国道脇の牧集会所に停め、チェーンを巻いた僕の車で、スペース天へ送っていった。スペース天に着くと、雪は20センチ近く積もっており、雪の重みで倒れかかった竹が真さんの車の上に覆い被さっていた。なんとか、除雪し、車を出すことが出来た。さて、明日の朝までに何センチ積もるだろうか?
(佐久間新)

I-picnic上映会
11日金曜日
もらったチケットがあったので、久々に文楽劇場へ見に行った。「国姓爺合戦」。3時間半の演目だったが、全く長く感じなかった。公演後、大阪駅から夜行バスで東京へ向かった。

12日土曜日
朝、東京駅着。久々の東京、1年以上ぶりかな・・・。駅では、大改修工事が行われており、少し迷いながら散策する。特にすることもないので、I-picnicの上映会場である浅草へ向かった。雨が降っていたが、かなり時間をかけてノンビリ散歩をした。

マルガサリが浅草のアサヒビール本社ビルでコンサートをしたのは、2000年のことだった。僕とイウィンさんは、ジャワの古典舞踊の他に、野村誠さん作曲の「セミ」に合わせて即興舞踊を踊った。僕らは結婚して間もなかったし、マルガサリもグループ結成2年余りで、ずいぶん初初しい感じだったんだろうな。はじめての東京公演で、随分と力の入った公演になったのを思い出した。

2時過ぎに、吾妻橋にある金の雲がのっかったアサヒビールのビルに到着した。金の雲の下にある真っ黒のビルの中に、アサヒ・アートスクエアはあった。野村幸弘さん、野村誠さんと合流。スタッフの方々と打ち合わせを行った。今回は、野村誠さんが自分の活動を紹介するというイベントで、ゲストには野村幸弘さんが招かれていた。彼らはI-picnicをはじめる前から、共同でいろいろな映像作品を作っている。でも今回は、I-picnicの作品を上映するのが主な目的だった。それで、僕はいても立ってもいられなくなり、バスで東京まで駆けつけることにしたのだ。これまでにも単発的に上映することはあったけれど、今回がI-picnicにとっては、初の本格的上映会だった。なので、僕が参加しないなんてありえないし、こんな楽しい場に立ち会わないなんてありえないのだ。

会場はカフェになっていたので、飲み物を飲みながら、映像を見ることが出来た。17時15分から映像上映が始まった。途中休憩やトークをはさみながら21時30分まで、上映会とトークが続いた。僕も途中からトークに参加した。いろんな感想も頂いた。来て下さった皆さん、ありがとう。

終演後、近くの居酒屋で打ち上げが始まったが、乾杯だけして、宴席を後にした。地下鉄で日本橋駅へ向かい、コンビニでサンドイッチを買って、ダッシュで東京駅へ向かい、夜行バスに乗り込んだ。4列シートで寝心地が悪かったが、まどろみながら上映会を反芻して大阪へ戻った。
(佐久間新)

 公演情報です。ウロコ通信76書きました
2008年が始まりました。不定期で書いている個人通信を書きましたので、転載します。このところ暖かい日が続きますね。夜は、やっぱりマイナスですが・・・。

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あけましておめでとうございます。
暖かい日が続きますね。窓の外に見える田んぼには、明るい日差しが差し込んでいます。集められた渇いた草から白い煙がたなびき、いつもは寂しく見える冬の農村もなんだかのんきに見えます。

今年はなにかと節目の年です。マルガサリは結成10年を迎えました。僕自身にとっては、4月でガムランをはじめて丸20年になります。そして、12月には、40才になります。いよいよ不惑ですが、まだまだフワフワ、わくわくです。

さて、今年最初の公演情報です。
野村幸弘さん制作の映像の上映会です。I-picnicの作品が上演されます。僕も会場に行きます。飛び入りでトークに出演する予定です。東京方面の方は、よろしければお越し下さい。今年中には、名古屋や大阪でも、I-picnicの上映会を行いたいと思っています。

a-cita caf〓 1st special program】
:"I-picnic”上映ナイト
日時:2008年1月12日(土) caf〓 open 17:00-21:30
映像上映 17:00-18:00
トーク 20:30-21:30
料金:入場無料(※ワンドリンクオーダー制)
ゲスト:野村誠、野村幸弘 特別出演:佐久間新
会場:アサヒ・アートスクエア
    東京メトロ銀座線「浅草」駅(4番出口)より徒歩5分
    都営地下鉄「浅草」駅(A5番出口)より徒歩10分
    地図:http://arts-npo.org/aas/map.htm
問い合わせ:アサヒアートスクエア事務局
        〒130?0001 
        東京都墨田区吾妻橋1-23-1スパードライホール4F
        TEL 090-9118-5171(事務局専用)
        E-mail;aas@arts-npo.org
URL: http://arts-npo.org/aas/
◆営業時間 10:00-18:00 火曜定休◆
主催:アサヒ・アートスクエア
協賛:アサヒビール株式会社
★なお、どこかで「編み物の音楽」演奏ミニイベントもあります。

野村誠さんのブログに詳しいプログラムと出演者のプロフィールなどが載っています。
http://d.hatena.ne.jp/makotonomura/20080105

それでは、皆様ご自愛下さい。
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